視力矯正に用いられる代表的な手法が「眼鏡」と「コンタクトレンズ」のふたつです。それぞれにメリットとデメリットがあるのは、お使いの方であれば分かること。それらを眼と眼鏡のプロの視点からまとめていきます。
1:コンタクトレンズのメリットとデメリット
まずコンタクトレンズは眼球に直接装着するものなので、視野が広くなり、周辺視野もクリアになるというメリットがあります。またずれたり落ちたりする心配がないので、運動やアクティブな活動に向いているのは言わずもがな。さらにかけることで顔の印象が変わってしまう眼鏡と違って、見た目に変化がないのもコンタクトのいいところで、メイクやファッションを楽しむ際にも、眼鏡とは違い、まったく制限を受けません。
しかしもちろんデメリットもあります。まず初心者の方は、慣れるまで装着に少し時間がかかること。また毎日のケア、つまり洗浄と消毒が必要であり、眼鏡と比べて手間がかかります。そして間違った使い方やケアを怠ることで、感染症などのトラブルを引き起こす可能性があることも忘れてはいけません。例えば『角膜炎』はコンタクトレンズ使用者によく見られる深刻な問題のひとつ。さらに水中をはじめとする特定の環境下での使用には適しておりません。
2:眼鏡のメリットとデメリット
続いては眼鏡に関して考えていきましょう。まず使用したい時にすぐかけられて、必要のない時には簡単に外せる手軽さは一番のメリットと言えるでしょう。また眼鏡の定期的な清掃は必要ではありますが、コンタクトレンズと比べるとケアは圧倒的に簡単。もちろん眼に直接触れないので、感染症をはじめとする眼のトラブルのリスクは低くなります。さらに顔の印象に変化を与えることができるので、ファッションの一部として、さまざまなスタイルを楽しめるのもコンタクトでは叶わない眼鏡のいいところです。
逆にフレームによって視界が遮られたり、周辺視野が狭くなったりするのは、代表的なデメリットのひとつ。また激しい運動によってずれたり落ちたりすることや、それによって壊れる可能性があること、曇ったり雨に濡れることにより視界が悪くなったりすること、さらに新しいフレームに変えた時や、長時間の使用時に耳や鼻に負担を感じることなどが悪い面として挙げられます。
これらのメリットとデメリットを考慮し、コンタクトにするか、眼鏡にするか、総合的に判断していただければと思います。答えが出しにくい場合は、ぜひ大学眼鏡のスタッフにご相談ください。
3:コンタクトレンズの使用が眼に及ぼす影響
コンタクトレンズの長時間装着は、乾き眼、黒目(角膜)表面の傷、アレルギー性の結膜炎や細菌性の結膜炎、白目のタコ(瞼裂斑炎)、眼瞼下垂など、非常に多くのトラブルの原因になりえます。
特に角膜が十分な酸素を得られない状態(角膜低酸素症)を引き起こす可能性を高めるのが、長時間の装着や夜間の装着です。それによって、いちど減ると再生できない細胞が死滅していき、そうなってしまってからコンタクトレンズの使用を辞めても、元の状態には戻りません。角膜内皮細胞が2000個 / mm²(平方ミリメートル)を下回った際には、コンタクトレンズの装用をやめて眼鏡の生活にしましょう。
ちなみにこの角膜内皮細胞の減少は、かなり進行するまで自覚症状がないもの。「よく見えているし、症状や違和感もない」「だから何時間つけていても、つけたまま寝たとしても大丈夫」と感じている方も、実は極限まで減っているかも知れません。日中はコンタクトの方も家に帰ったらできるだけすぐに眼鏡に変えるなどの処置をとった方がいいでしょう。それでも心配な方は、ぜひ一度、検査を受けてみてください。